建学の精神

聖ドミニコ学院はカトリックの精神に基づき

神の前に平等な人間として

互いに他を大切にしつつ

神の愛に生きる人間を育成します

学院のモットー『真理(VERITAS)』

「真理」とは「神を知ること」です

教育理念

 キリストとの関わりを中心とする世界観を基礎においた 理念のもとで、歴史や社会の中で生き生きと自立することの できる人間を育みます。
 本来、教育の目的は、園児•児童•生徒ひとりひとりの人 格を形成することにあります。学院では、その道筋を「人間 に関する《真理》はキリストにおいてのみ明らかになる*」 という言葉のとおり、人間とキリストとの間のかけがえのない関係をしっかりと自覚し、認識することを通して実現しようとしています。
 わたしたちのキリストとの関わりについての認識が教育 活動のすべての中に浸透し、充満することが聖ドミニコ学院 の教育共同体を構成するすべての人の活動の基本になると いうことです。
 学習の時間と人間形成の時間は次元を異にするものでは ありません。学院の行っている数々の授業は、単に知識を習得するためだけにあるのではなく、多方面な「価値」を学ぶ ことによって「真理」の探究に資するために行われています。 個々の教科や単元を手がかりとして学習したことが、キリ ストの教えの理解と一つになることで、人生、文化、社会、 歴史についての基本的な認識と確信が生みだされることに なります。
 「教育」は、「人間とは何か」、「生きるとはどういうことか」 という根源的な問いに対して、はっきりとした確信を持ちそのことを前提として展開されなければなりません。それは、 「いかに」という技術の問題にとどまらず「何故そうなのか」という理由を明確に示すことを意味します。学院の教育は、 神から祝福された能力を尊重して、子どもたちの主体的な学 習と組み合わされてはじめて実現するものです。

*2000年を迎えるカトリック学校 1997年12月 ローマNo. 9より

教育方針

 わたしたちが虚心になって子供たちを見つめていると、そのしぐさのひとつひとつに、その内面から輝くような生命の光を感じます。
 子供たちは、「生きたい…生きたい」「伸びたい…伸びたい」 と全身で表現し、語りかけてきます。わたしたちがこの姿を 見極め、深く語りかけ、訴えて、彼らの内側からの生命力にふれることができた時に、子供たちは確実に反応します。

1.ひとりひとりの「尊厳」の尊重

 こうした生命の輝きにふれること、それはひとりひとりの 子供の尊厳にふれるのです。この世界のすべてのものは、神が創造されました。わけてもわたしたち人間は、限りなく神に近いものとしてこの世に誕生しています。わたしたちは誰しも生まれながらにしてかけがえのない存在なのです。いいかえれば、すべての人は、神の祝福にあずかって誕生してきたのです。このかけがえのない生を認識し、大切にすること がひとりひとりの「尊厳」の尊重ということです。
 わたしたちは、神の愛を受けた存在です。国や社会環境の異なる中で、人間はさまざまな形で生を受けるのですが、神のもとに平等であり、祝福されたものとして存在しているのです。

 ひとりひとりの「尊厳」の尊重は、さらに大きな広がりを見せることになります。神の前にひとしく愛される人間の尊厳を尊重することは、それぞれの人権の尊重、人びととの連帯、社会正義の実現、さらに、平和の確立といった大きな善へと、私たちを導く原動力となります。
聖ドミニコ学院の教育方針の基本として、まず、園児・児童・生徒のひとりひとりの「尊厳」の尊重という姿勢をあげることができます。

2.神の愛の認識

 わたしたちは、神の愛により生まれたものであるならば、 わたしたちも愛をもって応えなければなりません。神の愛と 神の「み業」は永遠に続くものであり、永遠につながる神の 「み業」と人間の生は、「今」という一刻一刻で交わっており、 絶えることなく、神の愛を受け続けているのです。神の愛に愛をもって応えることそれが人間の道といえます。
 わたしたちは、神から愛されていることを認識することによって、人を愛することができるようになるのです。聖ドミニコ学院の園児・児童・生徒のひとりひとりに、「今」自分は確実に、誰かから愛され存在しているという確信を持つようにすること、そして人を愛することができるようにすることを学院の教育方針として明確にしたいと思います。

3.隣人への愛

 人は決して一人では生きられず、多くの人の支えによって生を全うすることができることを考えれば、自分が人に対して何ができるのかを知り、実践する子供になるように導くことが大切です。

 ひとりひとりの「尊厳」を尊重するという基本に基づいて、 より具体的に子どもたちを育むために、わたしたちはこの 「愛」という側面を確実にしたいのです。
 ひとりひとりがこのような「愛」を実感することから、園児・児童・生徒それぞれの中に、自分の存在を肯定する確信が育つことになるでしょう。そしてその「愛」を人に向けることができるようになれば、自分をも豊かにすることになります。このようにして、自由•平等•連帯・平和というような具体的な社会的価値もさらに確実に理解されることになるといえます。

4.社会のパン種

 次にわたしたちが目指す教育方針は、「社会との関係」一人との交わり一ということです。聖ドミニコは、宗教者たちが修道院にこもって神を探究していた時代に、キリストの福音を述べ伝えるために、積極的に街に出て神のことばを伝える道を選びました。具体的に語ることで、社会との直接のかかわりを求めていたからにほかなりません。

 文化の多様化と価値観の多元化が進んでいる現在の状況の下で、わたしたちは、人間と神との関係を常に認識しながらひとりひとりの「尊厳」の尊重を基本として、「愛」をもって社会に対する姿勢を堅持していく必要があります。人間の尊厳にかかる問題、人権の問題や環境の問題などと積極的に向き合って、キリストの価値観にもとづいて子どもたちを導くことが、かれらがやがて「社会のパン種」としての役割を担うことになるようにと進める聖ドミニコ学院の教育方針の一環です。