March 2025 忠 実
「あなたたちは地の塩、世の光である。
人はあなたたちの善い行いを見て、
天においでになるおん父をあがめるであろう。」
(マタイによる福音書5章13節~15節)
春は別れと出会いの季節です。 本校の卒業式や入学式に歌われる聖歌のひとつに「ごらんよ空の鳥」があります。
この歌詞は空の鳥や野の百合と言った小さな命を天の父が養ってくださっていること、そして、苦しみの時にも天のおん父が支えてくださっているという信頼の歌でもあります。
作詞者は、神奈川県のミッションスクールに通う当時、高校1年生だった男子の作と言われます。ラグビー部に属し、発病して以来、闘病生活が始まります。脳幹に腫瘍ができ、辛い治療と病魔との壮絶な戦いの様子が、お母さまの「闘病日誌」に書かれています。この病気になると、大概、精神に異常をきたすようですが、彼は最期まで意識が明瞭でした。
食事を終えてしばらくすると、決まって凄まじい嘔吐が始まります。下を向いて自分を支える体力が次第に衰え、お母さんの作ったクッションを肘に充てて頑張ります。1度、お父様と付き添いを変わったところ、仕事で疲れているお父さんを起こし辛いからと付き添いはお母さんにお願いしたようです。わずかな時間を使って洗濯と食事作りに帰宅され、家で弟はつらくても頑張っているお兄ちゃんのために、座らずに立って父なる神様にお祈りを捧げていたようです。
さながら真剣に試合に挑むように病気と闘い、数か月後、天に召された時には「やっと天国に行ってくれた」というお母さんの言葉がどれほど激しい戦いだったかを想像させられます。
最期に歌詞を紹介します。メロディーも美しいのですが…
ごらんよ 空の鳥 野の白百合を 蒔きもせず紡ぎもせずに 安らかに生きる
こんなに小さな命にでさえ 心をかける父がいる 友よ、友よ 今日もたたえて歌おう すべてのものにしみとおる 天の父の慈しみを