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答辞

答辞

厳しい冬の風が和らぎ、穏やかな春の訪れと共に、生命の息吹を感じる季節となりました。

今日という良き日に、私達三年生は卒業を迎えることができました。このような素晴らしい卒業式を開いてくださった皆様に、心より御礼申し上げます。

思い返してみると、ここ聖ドミニコ学院高等学校で過ごした三年間は、とても満ち足りた日々でした。しかし、最初から全てが上手くいっていたわけではありません。三年前の入学式は、新型コロナウイルス蔓延の影響で、マスク着用が義務付けられていました。その後の日常生活でも、先生と生徒も常にマスクを着用していたり、昼食の時間も、誰とも話さず黙食しなければならなかったりと、思い描いていた高校生活を送ることは困難でした。新しい環境にマスク生活が追い打ちをかけ、クラスが打ち解けるのに時間がかかったことを覚えています。

そんな中、縮小されながらも開催された学校行事のお陰で、クラスメートとの距離も日に日に近付いていきました。クラスみんなで一丸となって挑んだ運動会や球技大会、それぞれが創意工夫を凝らしたドミニコ祭の企画は、味気ないものとなっていた高校生活に、少しずつ楽しさを与えてくれました。

コロナの脅威は続いていましたが、二年生になると、学校内外での活動が少しずつ活発になっていきました。楽しみにしていた関西方面への三泊四日の修学旅行も無事に挙行することができ、再校の思い出が増えていきました。

三年生からは、新型コロナウイルスが五類感染症に移行し、いよいよ思い描いていた高校生活が訪れました。特に、夏に行われたドミニコ祭は四年越しに外部のお客さんを招き、それぞれのクラス、部活動、団体が様々な企画を行い、来場した方々に楽しんでもらうことができました。

私にとって、ドミニコ学院で過ごした三年間は、誰かのために働くことの大切さを学ぶ時間でした。私は一年生の後半から生徒会執行部に所属し、学校行事や学校外で、様々な活動を行ってきました。以前は、日々の生活に目標が見つからず、自分の力で積極的に行動を起こすことが苦手でした。しかし、生徒会役員として行事の運営に携わるうちに、周りの人と協力して一つのことを成し遂げる達成感、そして、自分の行動によって誰かが楽しんでくれることへの喜びを学びました。すると、奉仕活動にも興味が湧いてきて、休日に行われるイベントにも積極的に参加するようになりました。在学中携わった様々な行事を経て、誰かのために働くということ、キリスト教の重んじる奉仕の心の大切さを、身をもって知ることができました。

私たちが無事に今日の日を迎えられたのは、常に側で優しく、厳しく、温かく見守ってくださった先生方のご尽力があったからです。先生方は、普段の授業や学校行事、他愛のない会話から真剣な相談まで、私達生徒のすぐ側で寄り添い、支えてくださいました。一人ではどうしようもなく、不安や心配を抱えていた時、先生方がかけてくださった言葉は、今も私の中で励みになっています。先生方からいただいた言葉や教えに恥じぬように、この先の未来を、胸を張って歩いて行きます。

これからの聖ドミニコ学院を支えていく在校生の皆さん、皆さんには、この先の高校生活を、最大限に楽しんでいってほしいです。中には、日々の生活に満足していない人もいるかもしれません。しかし、三年間はあっという間です。怖気付くことなく、積極的に自分のやりたいことに全力で取り組んでいってください。全力でいることに疲れた時には、いつでも周りの人を頼ってください。私達の作り上げたドミニコを、皆さんの力でより良いものに変えていってくれることを祈っています。

そして、いつでも一番側で、私達を応援し、見守ってくれた家族。小学校から十二年間、学校に送り出してくれたこと、毎日お弁当を作ってくれたこと、今までは当たり前だと思っていたけれど、大人に差し掛かった今なら、決して当たり前ではなかったことがわかります。十八年間、愛情いっぱいに育ててくれて本当にありがとう。いつか旅立つその日までは、もう少しだけ、迷惑をかけさせてください。

現在、世界各地で起こる戦争や、今年初めに発生した地震など、私達を取り巻く状況は、決して穏やかとは言えません。私達はこの先、不安定な世の中を生きていくことを余儀なくされるでしょう。しかし、そんな世の中だからこそ、聖ドミニコ学院での三年間で学んだ、当たり前の日々への感謝、そして他者を思いやる心を大切に、先の見えない未来を力強く歩んでまいります。

最後になりますが、私達の高校生活を支え、見守ってくださった方々に改めて感謝申し上げるとともに、聖ドミニコ学院高等学校の益々のご発展を心より祈念して、答辞といたします。

 

令和六年三月一日
聖ドミニコ学院高等学校
第六十二回卒業生代表 中澤杏実

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